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□*甘雰囲気*
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『いいね〜』



パシャパシャとカメラの音が響く。



『もっと水加えてみて』



カメラマンの言葉に、仕事の関係者が巨大な扇風機に吹かれて飛んでる水を足した。



『…っは』



水が全身に当たって凄く冷たい。
風の強さで息も少ししづらい。



『いい表情だね〜岡田君』



撮影してるのは岡田。
来週の雑誌の表紙を飾ることになった。



『岡田、ヤバイな』



『うん…苦しそうだね』



それを遠くから見学してた坂本と長野。
岡田の撮影が終わったら次は2人の撮影。
料理に関する本の撮影が入ったのだ。



(そーゆーヤバいじゃなくてさ…)



坂本は岡田を穴が空くほど見つめている。



水をかけられ、ずぶ濡れになってる服。
強風によって乱れる髪の毛。
呼吸がしづらく、少し苦しそうな表情。



ーーーーー『はい、オッケー!!』



撮影者の声がスタジオに響いた。



『っぷは…ありがとうございました』



巨大扇風機が止まり、撮影が終わった岡田は挨拶をして手で顔を拭った。



『…マジやべぇな』



長野はそんな坂本の気持ちを知らず、撮影が終わった岡田の元に駆けつけた。



『岡田お疲れ様。はい、タオル』



長野が岡田にタオルを差し出した。



『あれ、来てたん?』



ありがと、と快くタオルを受け取った。



『撮影、寒かっただろ?風邪ひかないうちに早めに着替えておけよ』



そう言ったのは歩みよってきた坂本だった。



『リーダーも撮影?』



『博と2人でな』



『仕事、貰えたんやな』



うるせぇよ、と坂本が岡田の髪をぐしゃぐしゃにした。さすがに水で濡れていた。



『ぐしょぐしょだな…おら、タオル貸せ』



岡田の持ってたタオルを取り椅子に座らせ、坂本が拭き始めた。



『坂本君、お父さんみたい』



長野が笑って2人を見ていた。



『坂本さん長野さん準備お願いします!』



その声に反応して坂本は手を止めた。



『早く着替えろよ』



そう言って岡田から離れた。



『ん…ありがとう』



タオルを頭にかけたまま坂本を見上げた。椅子に座ってたので自然に上目遣いになる。



『……っ!』



坂本は思わず言葉を失った。



(そんな顔…っ反則だろ)



『リーダー大丈夫?』



岡田が黙り込んだ坂本を心配した。



『お、おう』



『撮影始まりそうだから、リーダー行こう。岡田、風邪引かないようにね』



長野が坂本を連れて、撮影するスタジオに向かって歩いて行った。



(リーダーどうしたんやろ)



岡田の頭にはハテナが浮かんでいた。
だがさすがにこのままの状態だと寒かったので、シャワー室に向かった。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△



撮影が終わり、坂本と長野は楽屋に戻った。



『俺、今日用事あるからもう帰るな』



『俺はもう少し楽屋で休んで帰るね』



またな、と坂本が楽屋を出た。
その時だった。



『っおわ!?』



『っ痛!』



誰かとぶつかってしまった。



『すいませ…っリーダー!?』



『岡田?』



ぶつかった相手は岡田だった。
髪の毛はもう乾いており、着替えていた。



『寒くねぇか?』



坂本は岡田を心配した。



『大丈夫やで。撮影お疲れ様』



和らいだ笑顔で岡田は言った。
そして軽く首を傾げた。



『もう帰るん?』



坂本の手には沢山の荷物があり、そのうえ、変装の為に使う帽子を被っていた。



『ん、あぁ。なんか用事あったか?』



岡田は気難しい顔をして迷ってる様子。
坂本は時計を確認した。



『夜の8時には終わると思うから、その後だったら別に大丈夫だけど』



その瞬間、岡田の表情が明るくなった。



『良かった。また連絡するわ』



そう言って岡田は坂本とは逆方向へ帰った。



(…っやべ!急がねぇと)



坂本は足早に家に帰って行った。
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