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□おしるこになりたい
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◆おしるこになりたい/緑高

「何を見ているのだよ…」

片肘をついてオレの顔をじろじろ見てくる目の前の男。いつも騒がしいせいか、高尾が黙っていても声が聞こえてくるような気がするのは何なのだろう、病気なのかもしれない。

「べつにぃ〜?ただ、オレおしるこになりてぇなって思って」

高尾は緑間の口の端についていたおしるこを指ですくい上げる。緑間が少し驚いているのを内心面白がりながら、指のおしるこを舐め取った。

「うわ……あっま」
「…自分から舐めとっておいて文句とは…喧嘩を売っているのか」
「喧嘩なんか売ってねーよ」
「というよりも…何故しるこになりたいのだよ」

緑間が聞くと、高尾は「待ってましたその質問!」と言わんばかりにはしゃいだ様子で笑い始めた。

「だってオレがおしるこだったら毎日何十回何百回ってちゅーできるんだぜ?超幸せじゃん!」

「…………」

「すげー嫌そうな顔だなぁおい」

「……しょうもないことを考えるのが本当に上手だなお前は」

「しょーもないこととか言うなよー。これでも割と本気なんだぜ?」

口元に運ばれていくおしるこをうっとりと眺めている高尾は正直気持ち悪い。というか、こいつは分かっていない。その顔は俺の理性を簡単に破壊してしまうのだということに。少し冷静になって、緑間はおしるこの缶を机に置いた。

「お前がおしるこになったところでオレにとってはデメリットばかりだぞ。考えれば分かるだろう」

「そうか〜?真ちゃんも俺とちゅーできて幸せじゃねーか!あ、もしかしてツンデレ発動中?」

「分かってないな、バカ尾が。お前がしるこになってしまったら、俺の好きなものが一つなくなる事になる。俺が損している計算になるだろう。だからお前は高尾のままじゃないとだめなのだよ。それに、キスなどしたいときにいつでもすればいいだろう?それともなんだ、足りてないからもっとして欲しいと文句を垂れるつもりなのか?まったく、我が儘もいい加減にするのだよ…」

畳みかけるようにそう言うと、緑間は最後の一口を飲み終える。高尾は緑間から缶を奪い、最後の一滴を飲み込んだ。そのまま髪を掻きあげる。


「あっま…まじ甘すぎる」

「また文句か」

「文句じゃねーよ!幸せだな、って思っただけ!お前体の成分おしるこから出来てるだけあって言うこと甘過ぎんだよ!本当惚れ直したんだけど。好き。やべぇ好き。好きだからさ、真ちゃんちゅーしよ」

「お前からしろ、バカが」





「…していーの?」
「じゃあやめるか?」
「あー。する!します!目閉じて」

……………………………。

「あっま!!」
「何度文句を言えば気が済むのだよ!」
「そうかおしるこ摂取後だもんな!そりゃ甘ぇよな!」
「…甘いのは嫌か?」
「んなわけねーだろエース様!」


2013.06.10

***
緑高の日!おめでとう!

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