dream小説


□Happy trouble
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カッカッカーー








黒板にリズム良く刻んでチョークを
滑らせていく。


「…で、Xはyと釣り合っているって言う事。」


解説をし終えて
生徒たちを見渡す。

教卓から見渡すと結構生徒たちの様子がみえるわけで、誰が授業を聞いていないとかよく分かるんだけど。

今日は皆ちゃんと顔が上がっていて
偉いなぁとおもっていたら、




「…はぁ…。」


残念ながら、
一名夢のなかにいる生徒を見つけてしまったようで。

しかも自分の恋人なわけで。

…自分の恋人の好きな教科くらい、
ちゃんと聞きなさいよ。
でも、成績はズバ抜けて優秀だから
なんかムカつくわよね。




一応、教師と言う立場上、
その居眠りさんを見逃すわけにはいかないからその生徒の机へ皆が問題を解いてる隙に向かう。





「…スー…、スー…」


すごく気持ち良さそうに寝ちゃって…。

自然と寝顔を見ているだけで
顔が緩んでしまう…、
まぁ起こすんだけど。


「…冴神さん。」

「んー?」

「起きて、授業中よ。」

いつもは瑠璃(るり)って呼ぶから
苗字で呼ぶなんて学校の中だけ。
冴神さんっていいたいのに、
つい瑠璃って言っちゃいそうになるのよね。



「…んー、…スー…」

「…はぁ…。」

これで成績優秀で皆から信頼されてる生徒会長様なんだからムカつわよね。

ファンクラブなんかも出来ちゃってるし。
後輩からもキャーキャー言われてデレデレしちゃって。


なーんて、心の中で毒舌交じりではいきすててると流石に一回声をかけられたから目が覚めて来たみたい。

「……んー。…ねむぃ…。」


今おきました感溢れる寝起きでくぐもった声と小さい子供みたいな雰囲気に
不覚にもキュンとしてしまった。


「…はぁ、冴神さん。
授業中なんだから寝ないでよ。」

「…あ、おはよう…ございます。」

世界も普段は敬語じゃなくて
タメ口だからちょっとタメ口になる時がある。
…まぁ、そんな頑張ってる姿も可愛いんだけどね。


「…今、問題といてるから冴神さんも解きなさい。」

「えぇー。嫌ですよー。」

はぁ、恋人の教科くらいちゃんと真面目に受けて欲しいものだわ。

「ほら、そんな事言ってないで早く解きなさい。もう答え合わせするわよ。」

「…だって、こんなのやらなくても…」

なんかブツブツ言い出してるけど
気にしない。

教卓にもどって答え合わせするわよーと声をかけて生徒を1人1人当てて行く。

順番づつに当てていくから
次の最後の問題は瑠璃に当たる。

…今から五分で解けるような問題じゃないわね。
超難問だしこの問題。

まぁ、寝てたのが悪いって学ばさないといけないからちょうどいいかしら。


「…じゃあ、最後の問題を、瑠…、冴神さん、解いて貰える?」

あぶない、瑠璃って言いそうになっちゃった。
そんな事をよそに黒板の前に辿り着いた瑠璃。

無理でしょう。…っておもってると、
書き写した問題をスラスラと解き始め、一分もしないうちに長い長い証明を書き上げた。




…しかもあってるし。



「…うん、正解ね…。」

私がちょっと悔しそうにして瑠璃の方を見るとニヤッてして自分の席に戻ってまた眠りについてしまった。



…はぁ…、優等生の恋人持つと
たいへんなのね。

なーんて…思うけど実は、
そんな恋人の姿もカッコイイっておもっちゃったりしてね。



…絶対に秘密なのだけれど。






2015. 4.4 〜END〜

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