君飼いシリーズ

□Cute♡ばーじょん
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「兵長」
「….……」
「兵長!」
「………」
ベッドの上で仰向けになりながら本を読んでいるリヴァイに対し、相変わらず猫耳をつけさせられている小さなエレンが一生懸命話しかけていた。
(何で無視するんですか…!)
一向に反応のないリヴァイに痺れを切らし、エレンは珍しく行動を起こしてみた。
「へいちょー」
幼い手でリヴァイの裾を引っ張ってみたが、虫を払い除けるかのような雑な扱いを受ける。
(む……)
耳元で大きな声を出そうと近づいてみるが、エレンの動きに合わせて読んでいる本が移動し、リヴァイの顔に近づく事を邪魔される。
(むぅ……)
リヴァイの様子は依然として変わらない。
下手な事をして殴られるのも怖いので、あっという間にネタ切れとなってしまった。
考える事に疲れたエレンは、ベッドに寝転がるとリヴァイの腹部に顔を乗せる。
顔を横向きにしてリヴァイをじっと見つめていると、リヴァイの呼吸に合わせてリヴァイの腹部とエレンの顔が一緒に上下していた。
(あれ……兵長、あったかいなぁ…)


******


「……オイ、いい加減起きろ」
まだ遠い意識を無理矢理引き戻すように、エレンは猫耳を引っぱられる。
「ふぁ…?あ、あぁ、…おき、起きましたぁっっ!!」
エレンは顔をしかめ、リヴァイの手から離れようとじたばたする。
「テメェ、俺を枕にするとはいい度胸だな」
「す、すみません、兵長!!」
エレンの言葉を聞いた途端にリヴァイの手が離れ、再び不機嫌な顔つきになる。
「….……?」
「エレンよ、俺と2人でいる時は何と呼べと言った?」
「あ、」
エレンはようやくその言葉で先程からのリヴァイの態度が示す意味を理解する。
「ほら、言ってみろ」
頭を優しく撫でられ、エレンは頬を紅潮させながら照れ臭そうにぽつりと呟く。
「……り、りばぃ…」
「たく、遅せぇんだよ」
リヴァイは溜息混じりにそう呟くと、エレンを抱きかかえ仰向けになって再び寝転がった。
小さくなったエレンはリヴァイの上ですっぽりと収まるサイズだった。
子どもをあやすように細い指先で背中をとんとんと叩かれる。
「そういえば、お前さっきから俺に何の用だったんだ?」
「あ、あの、俺の方を向いてほしくて…」
「は?」
「一緒に話したいこととか、言いたいこととかいっぱいあるんです…」
「ほぅ……お前が俺に言いたいこととは何だ?」
「え、」
改めてリヴァイに問われてしまい、エレンは顔を真っ赤にする
「ん?」
「あ、あの…」
エレンを見つめるリヴァイの穏やかな表情に、胸の奥がきゅんと切なくなる。

『その気持ちに魔法をかけて』

「りばぃが……だいすき、だよ」



【終】

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