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□Case3【愛情】
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「兵長は何で調査兵団に入ったんですか?」
ベッドの上で布団にくるまり、少し眠たそうなエレンが思いつきで質問する。
「ありきたりな質問だな。」
会話が5秒も持たなかった。
無言のまま明らかに不服そうな表情を見せるエレンに対し、目線は読んでいる本に向けたままリヴァイは仕方なく質問に答える。
「巨人を削ぐのがいいストレス発散になるんだ。」
エレンの表情が不服から怪訝の色に変わった。
「お前…俺のどこにストレスがあるんだって顔してるだろ。」
「分かります!神経質な兵ちょ…」
話を遮るように本の角が勢いよくエレンの頭上に刺さった。
「いっっってぇ……!!」
目が覚める痛みにエレンは両手で頭を抱える。
「冗談はさておき、」
リヴァイは満足そうに溜息をつくと、本をベッド横の小さなテーブルに置いた。
「エルヴィンがいるからな。」
その口から出てきた答えは、エレンにとって意外とも案の定とも捉えれるものだった。
「エルヴィン団長、ですか?」
「お前聞いた事ないのか。俺が調査兵団に入れたのはエルヴィンのお陰だ。」
「話は、聞いた事あるんですけど…そっか、…」
「俺が調査兵団から離れる時は、俺が死ぬかあいつが死ぬか、ま…巨人ごときで死ぬ事は有り得ないから、エルヴィンが現役を退くまでは俺もあいつの側から離れるつもりはない。」
淡々と語るリヴァイの目線はとても穏やかで、エレンは複雑な気持ちを抱いている自分に気づく。
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