小説メイン

□Case3【愛情】
2ページ/60ページ

(…?どうしたんだろ……俺…。)
胸のあたりが何となくモヤモヤするが、それが何なのかは分からなかった。
「オイ、自分で質問しておいて無視するとはいい度胸だな。」
ハッと我に返ると、リヴァイの顔が鼻先まで近づいていた。
「わっ!すっ、すみません!!」
自分を見据えるリヴァイに対し、エレンは慌てて平謝りをする。
「まぁいい。」
リヴァイは横たわるエレンを見下ろし、まだあどけなさの残る表情を見つめその頬に触れてきた。
「ん…。」
怒られたと思い込み、まだ少し怯えているのかきゅっと目を瞑りエレンは大人しくしていた。
連日の過酷な訓練を乗り越えているとは思えない程エレンの肌はしっとりとしていた。
リヴァイはその感触を楽しむように、ゆるゆるとその細長い指を滑らせエレンの輪郭をなぞっていく。
「…ッ…。」
凛々しい眉、長いまつげ、整った鼻先、そして柔らかい口元。
少し厚みのある口唇を指で押したり引いたりしていると、エレンの呼吸が湿り気を帯びてきた事に気づく。
訳が分からずされるがままだったエレンは、自分の顔に触れてくるリヴァイの指の動きを感じてそれを全て吸収していた。
「あ、あの……。」
子犬のように震える身体と濡れた瞳を向けるエレンは、あまりにも無防備だった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ