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□Case4【枷】
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「はぁはぁ、…っく、ぁああ…っ!!」
背後から突き動かされる度に、小さく断続的な吐息が零れ落ちる。
筋肉質であるが女性のように華奢な身体は、今にも折れてしまいそうだった。
「…リヴァイ、今日は止めにしよう…。」
「あ、あぁ…っ…ふ、…。」
「お前が壊れてしまいそうで怖いんだ…。」
頭上から聞こえてくる戸惑いを含んだその声に、リヴァイは目線だけ振り返りエルヴィンを睨みつける。
「はっ…俺が、いいって言ってるんだ……!っ…早く続けろ…。」
そう言い終わらない内に、リヴァイの腕が身体を支えきれなくなりベッドにうつ伏せで崩れ落ちていく。
「リヴァイ…。」
エルヴィンはリヴァイの内からペニスを引き抜くと、うつ伏せになった身体を掬い上げるように抱き寄せた。
火照る身体と逞しい腕の中で、リヴァイはその胸に頬を寄せる。
調査兵団に入団して以来、リヴァイが唯一信頼を寄せ身も心も委ねられる相手はエルヴィンだけだった。
「何故止めた…何度も言わせるな…。」
「すまない、…ただ、…今は少しだけ、お前とこうしていたいんだ…。」
漆黒の髪に口唇を寄せ、エルヴィンの両腕はさらにきつくリヴァイを抱き締めていく。
(…何なんだ、…この感じは…。)
エルヴィンから与えられる温もりと愛情は、注がれる側からリヴァイの身体をすり抜けていく。
どれだけ求めてもそれらを留める事は出来ず、エルヴィンと【契約】をしてからもリヴァイの心が満たされる事は1度もなかった。
しかし、無機質なセックスを止めたいとも思わず虚無感しか残らない。
「エルヴィン……キスが欲しい…。」
ゆっくりと重なる口唇に、リヴァイは静かに目を閉じていく。
『私が憎いか、リヴァイ?だが、どう足掻いても今のお前では私に勝てない。』
地下街で下されたあの日から、リヴァイの心と身体はエルヴィンに支配され続ける。
側にいるのに決して届かない相手である事は理解し始めていた。
それでも、枷を嵌められたように重く軋む手を伸ばす方法しか、今のリヴァイには思いつかなかったのである。
(なぁ、お前、……どこを見てるんだ……?)




白夜番外編【枷】終
 

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