短編その他

□CindelleraHoney
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「ここにいたのか。」
「兵長…。」
ダンスフロアに隣接して設置されたバルコニーに1人ぽつんと佇むエレンを見つけ、リヴァイは眉間に皺を寄せる。
「何をやっている。」
「あ、あの、場違い過ぎて、どうしたら良いのか分からなくて…。」
着なれないタキシードに身を包み、未だ緊張感の取れないエレンの表情は引きつったままだった。
「これも業務の一環だ。貴族サマ相手にきちんとやれ。」
「……すみません。」
どこに行っても何をやってもリヴァイに怒られ、エレンは肩をすくめる。
国の税金とは別に、個人で調査兵団へ莫大な資金援助をしてくれているとある貴族主催のダンスパーティーに、調査兵団上部と『巨人化能力の持ち主』エレン・イェーガーが招待された。
巨人との闘いと訓練に明け暮れる少年は、貴族の優美で煌びやかな世界に完全に萎縮していた。
そんなエレンを察したのか。
リヴァイはエレンの横に立つと、バルコニーの柵に背をもたれた。
室内で繰り広げられている踊りや社交の華やかさとは違い、一歩外へ出れば夜の静寂に包まれた穏やかな時間が流れていく。
心地良い風が髪や頬を撫でてきた。
「ここの城はユッセ城をモデルに建築されたそうだ。」
「ゆっせ?」
聞きなれない言葉に、エレンはきょとんとした表情をリヴァイに向ける。
「ユッセ城はシンデレラ城のモデルになったところだ。」
「え!兵長、童話とか読んだ事あるんですっ……」
言い終わらな内に、リヴァイの右手がエレンの頬を思いっきりつねってきた。
「ひっ、ひたいれす、ひたいれすぅ…っ!!」
「テメェ俺のこと何だと思ってやがる。」
リヴァイの眉間の皺がさらに深くなり、頬を最大まで引っ張った後に指を離した。
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