DRRR!!

□もう片方には□□を
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 朝
ある掲示板を見てみると池袋最強男・喧嘩人形こと平和島静雄の事がびっしり書いてあった
[池袋最強かくほー!!]
という題名で―…
これによるとどうやら静雄はある倉庫に閉じ込められているらしい
しかも一緒に載せられている写真からみると静雄は何かの入れ物に入れられているように見える
大体の予想がつき臨也は急いでそこに向かった
静雄は閉所恐怖症だ
急がないと静雄が゛壊れる゛




―来神時代―

「あれ…シズちゃんは?」

隣のクラスの戸を開けると教室の窓際にゆういつの友達である岸谷新羅がいた

「知らないよ?屋上に行ったきり帰ってきてないし・・・まだ寝てるのかな」
「ちょっと見てくる」

臨也は急いで屋上へと向かう
何だか嫌な予感がしてならないのだ
屋上まで上がり静雄を探すが何処にも見当たらない

「やっぱり…」

今日は珍しく静雄と喧嘩していない
だから静雄がいないのは自分が原因というわけではない
………いや思い出した
やっぱり自分が原因のようだ
昨日静雄に仕返しをしたいと言っていた男にある薬を渡した
力が弱まる薬だ
あくまで予想だがその男がその薬を今日静雄に使ったのではないのか
そして何かしらの危害を加えたのではないのか
臨也はその男を探し始めた
もしそうだとしたらまだ学校内にいるはずだ


「………いたっ…」

やっと見つけた男は何処か機嫌がいいようにも見える

「折原!やっぱりお前すげえな!」

やはり原因は

「あの薬すっげえ平和島に効いてさ!」

この男のようだ

「…あのさ」
「へ…?」

何時も持ち歩いているナイフを相手につき出す

「何勝手にシズちゃんを虐めてんの?」
「は…お前何言って…」
「シズちゃんはどこ…」
「は…ぃ?」
「何処かっつってんだよ…」


低い声で脅すかのように聞くと相手はペラペラと喋った

「…ハァ…3年2組…ここか…」

『さ、3年2組のロッカーに閉じ込めた…!教えたぞ…!じゃ、じゃあな…!』
と言い男はすぐ目の前から去っていった
そのあと急いで3年2組へ
3年2組の教室の後ろにあるロッカー
恐らく静雄はあそこに入っているのだろう
ガッと思いっきり開けると

「…っ……くぅ…」

平和島静雄が身体を震わせていた
開いたこと気付いたのか静雄は顔をあげる
その目には涙が溢れていた

「シズ…ちゃ――」

シズちゃんと名前を呼ぼうとしたらいきなり静雄が飛び付いてきた
そしてギュッと抱き締められた

「いたっ――くない…?」

相手は喧嘩人形と呼ばれている平和島静雄
力は人並みではなくサッカーゴールや柱などを軽々と持ち上げるほどだ
そんな人間が飛び付いてきた上に抱きついたのだ
痛いでは済まされないだろう
だが全く痛くなかった
むしろ弱々しかった

「いざ…っ…ふっ…」
「シズちゃん……もう大丈夫だよ 大丈夫」

臨也はそうやって静雄を慰めた


その時初めて静雄が閉所恐怖症だということを知った
暗く狭いところにいると孤独感が増して恐怖でいっぱいになるらしい
そしてもうひとつ分かったことが…
自分は静雄が好きだということだ




―そして現在―

「ハァ…ハァ…」

今では静雄と恋人という関係となっている
だからということもあるが急いで助けに行ってるのにはもうひとつ理由がある

「ここか……」

静雄が゛壊れる゛かもしれないのだ
学生時代のあの日の後
新羅に話をすると新羅も静雄が塀所恐怖症だということを知っていた
そして過去1回だけ静雄が壊れたことがあったらしい
「ごめんなさい ごめんなさい」とずっと呟いていて1週間家に引き込もっていたらしい
臨也はまたそんなことを
「ごめんなさい」だなんて言わせたくなかった

「シズちゃん!!!!!」

掲示板に載せられていた写真をたよりに静雄が入っているであろう箱らしきものを探しあてた
そして思いっきり蓋を開けると軽く足を曲げ背中を丸く曲げている静雄が入っていた
腕は縄で縛られていて口はガムテープで塞がれていた
静雄なら縄など簡単に引きちぎれられるのだが薬を使われているからか縄は何ともなかった
そして静雄の目にはあの時と同じように涙が溢れていた
臨也は急いで口を塞いでいるガムテープ、腕を縛っている縄を外し静雄を壁にもたれさせた

「シズちゃん大丈夫…?」

なぜ自分はこんな言葉しかかけられないんだろう

「あ…ぁ」
「本当に?もしあれなら新羅のとこ行こうか?」

大事な恋人なのに守れなかった
その罪悪感がどんどん積もっていく

「……め、ん…」
「ぇ…?」
「ごめん…ごめんよシズちゃん」

臨也は静雄の肩に頭をおく

「俺がついていながら…本当にごめん…」

静雄にごめんという言葉を
そしてその臨也に静雄は

「…いざや…ありがとな…」

と告げ臨也の頭をポンッと手を置き頭を軽く撫でた
その動作はとても優しくとても池袋最強と呼ばれている男とは思えなかった




―翌日―

「シズちゃん何処に投げてんのwこっちこっちw」
「あ゛ぁ゛もううぜえ!!さっさと新宿帰りやがれ!ノミ蟲!」

池袋には何時ものように24時間戦争コンビと呼ばれている2人が喧嘩していた
臨也はナイフを片手に
静雄は自販機を片手に
  もう片方には□□を

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