DRRR!!

□バンド始めます
1ページ/1ページ



あれは多分一目惚れだったと思う
ギターへの憧れとあの人への憧れそして今までに感じたことのない感情が溢れだした



 4月
俺―平和島静雄は来神高校へ進学
クラスは1-B
自己紹介を軽くし終えホームルーム終了
入学式も終わり皆が下校し始める
だが俺は荷物をまとめるだけで下校はしなかった
部活の見学をしても構わないということなので前から気になっていた部活を覗きに行くのだ
その部活はバンド部
軽音部とは活動内容は同じらしいのだが軽音部は女子だけバンド部は男子だけという感じで分けられているらしい
そんなバンド部に興味を持ったのは何ヵ月か前のことだ
俺は1度この学校の文化祭に行ったことがある
その時体育館から聞こえてくる音が気になり行ってみるとバンド部がライブをしていた
そのライブは凄いものだった
凄いとしか言いようがなかった
特にヴォーカルの人だ
歌が凄く上手く今でも耳に残っているほどだ
その上ギターも弾いていた
しかも上手い
俺はその人に憧れという感情をもった

「えーと2のF…2のF…」

ギターの経験0
歌は音痴というほどではないが上手いとは言えない
そんな俺だがこんなにやりたいと思ったものはなかった

「ここか」

バンド部の部室は2-F
今は全然使われていない教室を使っているらしい
その教室を見つけだし扉に手をかける
するとギターの音が聞こえてきた
俺は少しだけ扉を開け覗いてみる

「あっ…」

―あの人だ

覗いた先には俺の憧れの人がいた
あの日ライブでヴォーカルをやっていた人だ
制服は着ておらず黒を基調としている服装をしている
どうやら私服のようだ

―あ

聞こえてくる音が一瞬だが少し変になった
ライブのときもそうだった
あの時は自分の聞き間違いかと思ったがそうじゃなかったらしい
しばらく覗いていたらあの人は俺に気づいたのかこっちへ近づいてきた
俺は急いで扉から離れて慌てて背を向けあたかもたまたまそこを通りかかったかのようにする
ガラガラと扉が開く音
その音と同時に

「どうしたの?」

という声が聞こえる

「え、あ、その」

言葉が詰まる
何せあの憧れの人が目の前にいてしかも話しかけているのだ
俺は今緊張している

「もしかして見学?」

コクリと「はい」という言葉の代わりに頷いた

「どうぞ 入って」

俺はペコリと頭を下げ部室に入る
部室には何もなくギターとスピーカーがあるだけだった

「と言っても今日は俺しかいないけどね」

そう言うとギターをもうひとつ取り出し俺に差し出す

「はい 俺は折原臨也 よろしく」
「あ、俺は平和島静雄って言います よろしくお願いします」

少し戸惑いながらもギターを受けとる
―折原臨也って言うんだ… 何て呼んだらいいのかな 折原先輩?臨也先輩?
なんてことを考えていると

「静雄か…じゃあシズちゃんね」
「え?」
「君の名前」

あだ名をつけられました


   
   

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ