〜コラボの場合〜

□爆発ストライキ
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〈横澤視点〉


夜道に自分の乱暴な足音が響く。
近所迷惑なことは分かっているが止められそうにない。



"堪忍袋の緒が切れた"



理由を簡単にいえば、この言葉が適当だ。
もう少し詳細を言うなら限界に限界を重ねた許容範囲を越えたためだ。
切れる原因となった相手へと衝動的に怒鳴り、マンションから飛び出してきた。



「〜〜何であの人は妥協出来ないんだ!」



このところ桐島さんが毎日のように"スキンシップが足りない"と寝室へ連れ込もうとする。
それはもう狡猾にあらゆる手段を使ってだ。

ある時はひよを、ある時は過去の話を、ある時は写真など……五百川さんや高野の件が要因なのかもしれない。



つらつらと思い出していれば、携帯の着信音が鳴る。
俺はそれを取り出し、桐島さんだと表示画面で確認してから通信を切る。
ついでに着信拒否にしておこう。




『当分ここに来ない』



桐島さんにそう言い放ったことが、本気だと分からせ頭を冷やしてもらわなければならない。

体を重ねるのは別に嫌ではない。求められていると実感できるからほっとする。

だが、頻度というものを考えて欲しい。
毎日とまではいかなくとも、間を開けず酷使し続けた身体は仕事の疲労とともに疲れを蓄積していくからだ。
正直に言うと、動かしている今も悲鳴を上げていてあちこち痛い。


当分の間は、身体の休息のためにも色々と危険な桐島さんと距離を置きたかった。



最寄りとなりつつある駅の改札口を早々とくぐり抜け、ちょうど到着した電車に乗り込んだ。

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