魂掴

□頂き物ー腐男子日記―
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誰か俺に萌えをくれ。





8月28日水曜日。天気は快晴。 今日も、腐った1日が始まろうとしていた。

ザワッ…

う〜ん…やっぱり王道は刻神か?

ザワザワ…

いや…あえて神峰をいれずに奏音・音奏なんてのもいい かな。

『ねぇねぇ…!あれってさ、噂の神峰くんだよね!』

『え!?ウソ、どれ!? あたし初めて見るんだけどっ!』

最近みんなが噂している“神峰翔太”という人物がいる。 理由は簡単。 男子から異常なほどモテるから。 もちろん神峰も男子であるからして、いわゆる“ホモ”、 またの名を“BL(ボーイズラブ)”。 正直ホモってなんかダサいから、個人的にはBLのほう が好きなんだけど。 まぁ、あの神峰に近づこうとか…俺は思わないねぇ。

「はよ。確かおんなじクラスだったよな。」

うん。自分から近づいたりはしないさ。 相手からの場合は別だけど(泣)!!

「おはよう。神峰から話しかけてくれるなんて珍しい な。」

笑って返事をしたのに、彼は眉を下げて泣きそうな顔を した。 なんでそんな顔をするのか分からない。

「あの…?」

話しかけようとしたんだけど、もの凄い殺気を感じて思 わず振り返る。 人混みの中、突き刺さるような殺気を発する人物が…す でに数えきれないわ。 誰かは分かってるけど、なんで俺が狙われなければなら ないのだろうか。

「やっぱり迷惑だったよな。ごめん。」

神峰が謝る。なんでお前が謝る必要があるんだ。

「なに言ってんの!!お前と話す機会なんてあんま無いし、 嬉しかったよ。」

最初こそ少し怯えていたものの(神峰親衛隊に対して)、 どうやら普通にいいやつみたいだし。今はホントに楽し いし(神峰親衛隊は恐いけど)! あ、ちなみに俺は刻神推し。

「え…。」

神峰が驚いたような顔をして俺を見る。 ん?あれ?俺、なに言ってるんだ!?今の発言は神峰親衛 隊を敵にまわしたようなものだぞ!? 呆然とする俺に、神峰は惜し気もない笑みを向けた。

「吹部の人以外からそんなこと言われたの、初めてだ。 ありがとう!」

その笑顔にドキッとした。 可愛い。男なのに、つい守ってあげたいと思ってしま う。 この笑顔に吹部の人達はやられたのか。納得。 あ、もう一度言うが、俺は刻神推しだ。

「神峰!!いつまでそこで喋ってるつもり?早く行かなきゃ 遅刻するよ!」

来ました刻阪!とうとう我慢できなくなったな? いけいけ!!そして押し倒せ!←

「おはよっ!! 聞いてくれ刻阪!俺、また友達ができたんだ///」

それ、もしかして俺のこと?顔赤くしながら言うな萌え る。

「へぇ…良かったじゃないか。(チッ…また邪魔者が増え た。)」

刻阪の鋭い殺気が突き刺さる。 だがしかし、俺は諦めないぜ!

「大丈夫だって。俺は刻神一筋だから、恋の邪魔をする つもりはないから。」

コソッと呟いて俺は笑った。 刻阪は少し考えたあと、ありがとうとはにかんで神峰と 歩き出す。 あとからぞろぞろと吹部の人達が神峰を取り囲んでいっ たけれど、刻阪が神峰の隣を譲ったりはしないだろう。

俺から見た神峰は、気が弱くて、でもいいやつで可愛く て、受けの定番みたいなやつだ。 こんな神峰の取り合いが毎日見れる俺って超幸福者だよ な! 萌えはjustice!! 刻神早く結婚しろ!!

今日、改めて神峰総受けも良いかもしれないと思いまし た。

(そんなことがあって神峰とよく喋るようになった。吹 部にお邪魔させてもらったり、新しいCPを発見したり… 充実した日々を送っている。いつの間にか、日記のペー ジは無くなっていた。)

end
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