魂掴

□頂き物――クイズ!音楽談義
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あなたは、3人の話の内容から曲を当ててみましょう!

クイズ!音楽談義

それは突然始まった。そして、浸透性の早い鳴苑はすで に“その状況”に慣れていた。 それは数分前の話…



「あのさ…お姉ちゃんがいないならもう帰りたいんだけ ど。」

「良いじゃないか。こんなメンバーが揃うなんて珍しい よ。」

「いや…ほんと何があってこんなことに…￿」

聖月と伊調と神峰。共感覚を持つものが3人も揃うなん て確かに珍しいことだ。 この異様な光景に、鳴苑の部員は唖然呆然であった。 そんなとき、ある音楽が流れ始める。

「んっ…なんか甘い。ケーキの味がする!」

聖月が呟く。すると、伊調が頷く。

「僕にも色が見えるよ。虹色じゃないけど…凄く明るい 色ばかりだ。」

そして神峰が同意する。

「俺にも見える。これは…女の子だな。 うわっ!なんかめちゃめちゃワガママっぽい…￿ あ、扉…を…誰かが叩こうとしてる。」

他人が聞けば意味がわからないだけの会話。 だが、この3人はお互いの言葉を全て理解していた。

「この人達の曲は明るいイメージ。」

「そうだね。強いて言うなら『秋桜』はちょっと暗い色 合いかな。」

「確かに!あれを聴くと女の人って大変なんだなって思 う。」

たった1曲でなんて深い話をしているのだろうか。 そのうち楽しくなってきたのか、3人の音楽談義は盛り 上がっていく。

「あ〜…これか。 これはね、揚げ出し豆腐の味!」

「いつ聴いても良い曲! 色は…オレンジが多く見えるけど。」

「ドラマのイメージも強いしな…。 うん、やっぱり昔の町並みが見えるよな。ここは病 院…? あ!危ねぇ落ちるっ!」

ガターンッ!

椅子ごとひっくり返った神峰を見て、二人が爆笑する。 神峰のあまりにも繊細な共感覚は、現実にも影響を及ぼ すらしい。

「この人の曲は恋愛ものが多いかも!」

「明るい色も、落ち着いた色も出せる!すごいと思う よ!」

「星が見えたり…あ、家に帰る家族が見えたりもする な!」

きゃっきゃと楽しそうな3人。曲は次々と変わってい く。

「お、次はこれかぁ…。 これは桜餅とお団子の味がする!おいしぃ〜♪」

「うーん…黄色に黒が綺麗なcontrast。ときどきピンク色 が見えるかな。」

「おぉっ…スッゲェきれーな月! 天気が良いんだろうな。 夜空も綺麗…あれ?白髪の男の子が立ってる。何であん な悲しそうなんだ…?」

「この人達の曲、よくアニメに使われてるよね。」

「うん!元気が出るような歌なのに、どこか寂しい感じ も出てる。」

「いっつも白髪の人が出てくるんだ。多分、主人公なん だろうな。」

次の曲も、その次の曲も。3人は同じものを聴きなが ら、全く違うものを見ていた。 1人は味覚、2人は視覚。同じ視覚でも1人は色、1人 は具体的な曲のイメージ。 こんなにも違うのに、こんなにも分かる。理解できる。

“他人とはできない、3人だからこそできる共感。”

「ま、たまにはこーいうのも悪くない…って感じ?」

「僕はいつでも大歓迎だよ。また集まるなら誘って欲し い(笑)」

「俺も楽しかった!普段は聴かない曲とかも聴けたし、 二人の話スゲェ勉強になった。」

また機会があれば集まろう!なんて、自分の世界に入り 込んでいた3人。

『次は他所でやってくれると良いな…。』

部員達は頭を抱えて机に突っ伏した。

〜待ち合い室でのクリスと刻阪とカスミン〜

「神峰の言うことは不思議なくらい当たるんですよ!指 示も的確だし、ほんと成長しました。」

「うちの聖月は…ただのワガママですね￿フルートは上 手ですけど、ぼくに味を言われても分かりませんし…。 」

「聖月は昔から負けず嫌いなの〜。ワガママなとこもあ るけど、根は優しくて良い子なんだよ〜♪」

のほほんお花がふわふわ。 暖かいオーラが周りを優しく包んでいた。

(共感覚も、案外捨てたもんじゃないね!!)

end

*今回参考にさせていただいた曲のご紹介*

♪いきものがかり 『気まぐれロマンティック』

♪平井堅 『愛しき日々よ』

♪SPYAIR 『サクラミツツキ』

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