魂掴

□愛してるの伝わり方
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帰り道

刻阪は不機嫌だった
神峰は、珍しく心を真っ赤に燃やしている刻阪に、戸惑うしかなかった

神「刻阪‥」

神峰が思わず呼びかけると、数歩先を歩いていた刻阪は立ち止まって振り返った

神峰を見た刻阪の顔と心は、少し驚いたあと、心配するような表情になった

刻「神峰?」
神「刻阪、俺、なんかしたか?」
刻「え?」

刻阪は自分が不機嫌なことが無自覚らしい

神「病院出てから、すっごい早歩きだし、心はなんかどす黒いし、何にも喋らないし…」

神峰は不安感を顔いっぱいにして言った
神峰に言われて不機嫌を自覚し、少し考えてから自らの不機嫌の原因を見つけた

刻「ごめんね神峰。ちょっと嫉妬してたんだ」
神「嫉妬?」
刻「ああ、途中から音羽先輩に神峰を取られただろう?それで、神峰は僕のものなのにって」

そして刻阪は、そんなことで不安にさせてしまったのだと情けなく思った

神「俺も‥」
刻「ん?」
神「俺も嫉妬した。」

聞くと、刻阪がトイレで席を外して二人になると、モコは昔の刻阪の話をしてくれたらしい

神「それで、モコちゃんは俺の知らない刻阪を知っているんだって思ったり‥」

なるほど、あのとき不機嫌そうだったのは嫉妬してくれていたからなのか

神「と、ときさか!?」
刻「嬉しいよ神峰!」

刻阪は神峰を嬉しそうに抱き締めた

神「な、なんで!?」
刻「神峰が嫉妬してくれたってことは、嫉妬するぐらい愛してるということだろう?」

抱き締める腕を緩めて、額同士をこっつんこさせる

神「‥そ、それなら、刻阪も俺を愛してるってことだろ…」

顔を真っ赤にして言う神峰は、殺人的に可愛かった

刻「もちろん、愛してるよ翔太」
神「俺も‥愛してる響」


暗くなって人通りのない道路で、二人は愛を確かめあっていた
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