ヤンデレな君の愛し方

ヤンデレな君の愛し方《9》
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「おー、秋ちゃんじゃないないかーにゃん」

ちーちゃんのお家に入ると一番にちーちゃんママが顔を出した。

ちーちゃんによると二週間の休みをちーちゃんママだけ延ばしたらしい。

だからちーちゃんパパだけお仕事に戻ってちーちゃんはちーちゃんママと二人暮らし中なんだって。なんかややこしいなぁ


そんなちーちゃんママは珍しい事にスーツを着ている。あれ、お仕事かな?

「こんにちはにゃんにゃん♪」

とりあえず『にゃん』と言われたので『にゃんにゃん』と返してみた。

するとちーちゃんママは目をキラン!と光らせ目には見えない早さで突進してきた。

「むぎゅーー!!秋たんきゃわいいよぅうう!!!」
「うーうー!苦し、苦し!!!」

ちーちゃんママは奇声をあげて頬っぺたをスリスリしてくる。

痛い、痛いよー

「ちーちゃぁぁん、助けてぇえ」
「かーさんったら、止めてやれよっ」

え?

ちーちゃんは僕が助けを求めると、珍しくすぐに助けてくれた。

いつもなら面倒くさそうな顔をするだけなのに…

ちーちゃんは僕の体を抱き締めるとグイッとちーちゃんママから引き離した。

「ん?千尋ってば妬いちゃってるの?」
「別に」

ちーちゃんは、ブゥーと頬を膨らますと少し僕を引き摺るように部屋に連れて行く。

……あれ、本当に妬いちゃってるのかな?

まさか、ちーちゃんはそういうの鈍感だから気のせいだよね。

でもでも、ちーちゃんにギューってされるのはすごく嬉しい

ちーちゃんの匂いが近くで感じられる

あぅあぅ、幸せ…

「もー、千尋ったら…あ、そうそう。今から出かけるけど私今日は帰らないからー」
「朝も聞いたっつーの」
「ありゃ、反抗期」

ちーちゃんママはペロッと舌を出すと出ていった。

いつみても元気な人だな〜…

「秋、変なとこ触られたりしてないか?」
「ふぇ?…はぅ、大丈夫だよ」
「ん。なら良かった」
「というか、変なとこ触られてもちーちゃんがギューしてくれてるから全然大丈夫だよ!」

…………あれ?

ちーちゃんがものすごく変な顔してる。

僕、変なこと言ったかな?

しばらくちーちゃんは頭に?を一杯浮かべていた

「……ギュー?」
「うん、ちーちゃんに今ギューてされてるよ?」

そう言って僕はちーちゃんの腕をツンツンとつつく。

するとちーちゃんは急にとギューってしていた手を離してしまった。

「ごごごごごめん!!わざとじゃないんだ!!!」

あわあわと手を上下左右に手を振るちーちゃん。

そして、ぷいっとそっぽを向いてしまった。

…ちーちゃんがギューってするのをやめてしまったから、なんだか急に寒くなってしまった(残暑で暑いけど)

なんで、はなしちゃうの?

僕、うれしかったのに。ちーちゃんにギュウってされて

それなのに、



「…なんではなしちゃうの?」
「なんでってその……と、とりあえず先に俺の部屋にいっとけ」
「いや!!ちゃんと答えてよ!」

僕が叫ぶように怒鳴るとちーちゃんはムッとした顔になった。


「別にどうだっていいだろ」
「どうでもよくない!ちーちゃんは僕のこと嫌いなの!?」

バンッ!

ちーちゃんが、壁を強くたたいた。

普段こういうことしないちーちゃんだから、僕はビクッと肩をあげた


ちーちゃんは、鬼みたいな顔してた。

「おまえは…お前はいつもなんかあるとそうだよな!僕のこと嫌い?嫌い?って。うっとうしいんだよ、それ!」
「…………鬱陶しい?」
「そうだよ!」











………………………鬱陶しいんだ、僕

そっか、鬱陶しいんだ。
















僕はスルリとちーちゃんの横をすり抜けて玄関へいく。

そして靴箱のあたりに置いてあった監視カメラを見つけるとちーちゃんの家を出た。




ちーちゃんは、追いかけてこなかった。






……鬱陶しい


ふと、頬になにか伝った。






手で触れるとそれは水だった。





口に入れると、ちょっとしょっぱい。





………ちーちゃん、ごめんね。




だって、不安になってしまったんだ



急にはなされて



きらわれちゃったんじゃないかって













でも、大丈夫。ひどいこと言われても、ちーちゃんは、まもるから
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