はちゃめちゃリレー小説

□白昼夢マティーニ
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赤い花 黄色い花 空色の花…どこまでも広がる花畑には花以外何もなくて、甘い香りが漂ってる。
先程の暗い夜道でへたりこんだままこの花畑にワープしたらしい。今私は色とりどりの花に囲まれながら座っている。ほんの数分の間に起きた事に私の脳みそは理解がついていけずにパンク状態だけど…まぁ夢だからいちいち驚いてられないね。とりあえず私は目の前にいる、この楽園には不釣り合い過ぎる黒を纏う少年に疑問をぶつけようかと思う。
「ねぇ」
「なっ、なんで…しょう?」
元々夢太郎への扱いはさんざんだったが、先程の恐怖体験が影響してかなり不機嫌な声になっていたらしい、そんなつもりはなかったが。そんな声色に彼は動揺している。
「なんか助けてくれた?とりあえず感謝するよ。」
「いや、気にしなくていいよ」
「それで、聞きたいことあるんだけど。あいつは誰?ビアンカ症候群ってなんなのさ?さっきの場所はどこ?」
「えーと、ちょっと言い辛いんだけど」
苦笑いの表情で、夢太郎は頭をかく。そして彼は私の背面に座り、静かに語り始めた。その口調は夢太郎とは思えないほど滑らかで、いつものグダグダ感が全くなかった。



あいつはボクのちょっとした知り合いだよ、名前なんか知らなくていい。二度と顔を拝まなくてすむようにするよ。
君のいたところはあいつの作った世界だ。もうすぐで君は奴に捕らえられるところだった。油断してたよ、ごめんね。
それで、ビアンカ症候群についてなんだけど…症状はお嬢様の通り。正体は呪いなんだ。
幼い頃のお嬢様が、とある迷宮の最奥部に眠っていた…というより封印されていた悪魔を解放しちゃって…お嬢様は元々封印を解放する能力に優れてたんだけど…そこから色んな人に呪いがかかったのさ。
この呪いをとく事が出来る存在、それを一部では特効薬って言うんだ。ちなみにビアンカ症候群も特効薬も一般的に言う業界用語だからあんまり人前で使っちゃダメだよ




ここまで語ると彼は立ち上がって、質問はないかと問いた。伝えられた量が多すぎて理解の追いつかない私は意思表示に、首を横にぶんぶんふった。
私の返事を受けて、彼はそう、と言って音もなく消えてしまった。
残された私はただ呆然と夢太郎の消えたあたりを眺めていた。
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