はちゃめちゃリレー小説
□白昼夢マティーニ
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「……あれ…朝…?」
あれから、庭園に取り残された私はいつの間にか現実世界に帰ってきていた。夢太郎に言われたことが壮大すぎて目が覚めてしまったみたいだ。
ジリリリリリッ
「うおっ?!」
なんとも女の子らしくない声がでてしまった。なんと、目覚まし時計がなる前に起きたのか…すげぇ人生初かもしれない…!
「おら、姉貴あさ……あ?」
ドカッと音がしたドアの方をみると弟の洋介がいかにもだるそうに私を起こしきた。つか、ドカッってなんだこいつ私の部屋のドア、蹴って開けたのか?
「あ?毎朝蹴ってるけど、気付いてねぇの?」
「あれっ!?なんで考えてることわかったの?エスパー?!」
「口に出してたんだよ、気づけアホ」
アホっなんだ!姉に向かってアホはないだろっ
「毎朝、起こしきてる俺に向かって感謝もなく、アホな姉貴にはアホでいいんだよ」
「アホっていうなぁ!!」
「うっせぇ、黙らないと蹴るぞ」
「ごめんなさい。」
「ふっ」
くそ、鼻で笑いやがった…うちの弟の洋介は中一にしてサッカー部の期待の新人なのらしい。サッカーやってるので蹴られれば数分動けなくなる。ちなみに体験済みだ。
「じゃあ起きてんなら、早く着替えて下おりてこいよ、母さんまってんぞ」
「はーい、ってあれ?そういえば洋介朝練は?」
「今日はないよ。」
そう会話は終わるが洋介はなかなか部屋を出ていかない。着替えられないのだが…
「洋介?着替えられないから部屋出て欲しいんだけど…?」
「なぁ、姉貴」
おい、無視か。着替えられないって言ってんのに話し出すかこの弟様は
「なに?」
「姉貴が早く起きる時ってなんかあった時だよな。なんかあったのか?」
「えっ?」
普段、だるそうに私と話す洋介が珍しく焦ったような、というか心配したような声で聞いてきた。そういえば昔から私になにかあるとそうやって心配してくれたような気がする。私はそれが嬉しくて思わずにやついてしまった
「なにニヤニヤしてんの、で、なんかあったんだろ?どうなんだよ」
なんかあったといえば、十中八九夢太郎やビアンカについてなのだが、さすがにそんなことを弟に話すわけにはいかないなぁと考えていると…
「…姉貴が別に言いたくねぇならそれでいいけど…でも俺は…俺はっ!!いつでも味方だからなんかあったら頼っていいからなっ!!」
と、真っ赤な顔で叫んだ。いきなりのことだったので固まった私がわけもなく発した言葉は…
「…デレ頂きましたぁっ!!」
当然蹴られました。クソ痛い。だけどそんな気遣いが嬉しくて
「今日は途中まで一緒に学校行こっか?」
と、誘ったら洋介がほんのり頬を赤くしながら「別にいいけど」と言ったのが可愛くてしばらくにやつきが止まらなかったのだった。