はちゃめちゃリレー小説

□白昼夢マティーニ
19ページ/29ページ

悪魔。今、夢太郎さんは悪魔を解放したなんとかって言ってたよね?それはまるっきり夢で聞いたことと同じではないだろうか…

「…長谷川さん?長谷川さーん?」
「うぇ?!」

夢で聞いたことではないかとぐるぐる考えていたら完全に行動を停止していたらしい。夢太郎さんが不思議そうな顔で私の顔をうかがっていた。

「大丈夫?いきなり動かなくなったから…」
「だっ大丈夫大丈夫です!で、その悪魔がどうしたんですか?」
「あぁ、それで……ーっ!?」

聞き返した私の言葉に続きを言おうとしたであろう夢太郎さんがふと、顔色を変えこの先の曲がり角を見た。すごく険しい顔つきで

「ゆ…夢太郎さん?どうしたんですか…?」
「……いる。アッサムの気配だ。」
「…は?」

そう言って夢太郎さんは顔色を変えず曲がり角を見つめている。
アッサム?紅茶?紅茶の気配って何だ?夢太郎さん元々変な人って思っていたけど、本当に変な人なの?

「…くる。」
「え?…うわっ?!」

夢太郎は曲がり角を見つめながら何故か私を背中にかばった。そして曲がり角から出てきたのはー

「あっれー?和お姉さんじゃないですか!ちぃーす!」
「那津(なつ)くん?」

弟の幼馴染で同じサッカー部の香田那津(こうだなつ)くんが出てきた。私は知ってる人に安心し、ホッと息をついたのだが、夢太郎さんは未だに顔色を変えない。しかもまだ私を背中にかばったままだ。そして私に近づいてきた那津くんに向かって…

「近づくな。お前の気配はなんだ。アッサムなのか?」
「「…は?」」

先ほどまで喋っていたときとは全く違う厳しい口調で那津くんに言った。いきなりのことで私と那津くんは同時にほうけた声をだしてしまった。まただアッサムって…アッサムってなんだ。那津くんは紅茶じゃないぞ?

「俺、紅茶じゃないっすよ…?」

那津くんもびっくりしてなのか、当たり前なことを聞いていた。私と同じこと考えるし…。ってあれ?那津くん右目どうしたのかな?医療用の眼帯してる。私は夢太郎さんの背中からでて那津くんに近づいた。夢太郎さんが驚いてるけど、知らない。

「那津くん!その眼帯どうしたの?怪我?」
「あ、いえ、数日前から痛いんすよー」
「えっ、大丈夫?病院いった?」
「いーえ、部活忙しくていけてないっす。そうだ和お姉さん。ちょっと右目見てみてどんな感じか教えてくれません?」
「あ、うんいいよ!」

私が那津くんの眼帯に手を伸ばし、取ろうとしたら

「近づいちゃダメだっ!!」

っていう夢太郎さんの声と、グッと腕を那津くんに掴まれたのはほぼ同時で

「きゃっ!?」
「捕まえたっ♪あっ俺はアッサムさんじゃないよ?俺はアッサムさんの手下の悪魔♪今はこの人間さんにとりついてまーす☆俺をこの人間から取り出す方法?さぁそれはわからないのさ☆もしかしたら特効薬さんならできるんじゃな・い・か・な☆」

なんて、目の色が黒から黄色にかわり性格が豹変した那津くんがマシンガントークをしだしたー。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ