はちゃめちゃリレー小説
□白昼夢マティーニ
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「ヤバいヤバい!」
先ほど少年とぶつかって時間をロスしてしまった。
朝のホームルームには間に合わないが一時間目をまるまるサボる訳にはいかない。なにせ今日は赤点ギリギリをさ迷う数学なのだから
「はぁはぁ!!…ってあれ?」
この道をまっすぐ抜けた所が学校なのだが、その道にとてつもない人だかりができていた。なんなんだ、私は一刻も早く学校へいかなければならないのに…!
「すいません、あのっ通して下さい…!」
学校に行ける道がここしかないなんてなんて不便な学校だろうか。だがよく見るとちらほらというかめっちゃ同じ学校の制服の人たちがいる。もう朝のホームルーム終ってる時間なのだが…不思議に思いながらも、人を掻き分けながら進んでいると
「和っ!!?」
聞き覚えのある声に振り向いてみると、同じクラスで親友の束原加奈子がいた。なぜか泣きそうな顔をしている。その後ろには加奈子の彼氏の矢藤京くんもいた。くそぅ!彼氏と登校とか羨ましくないんだからね!?と、思っていると…
「和が生きてる!!」
「わっ!」
ガバッという効果音がつくほど勢いよく飛び付いてきた
「なっなに!?どうしたの!?」
「和ぃぃ!!生きてるぅ!!」
なぜ泣いている?!生きてるってなに!?どぎまぎしていると、見かねた矢藤くんが…
「さっき、ここで事故があったんだよ」
…事故?事故と私、なんの関係があるんだ?
「工事現場の鉄骨が落ちてきて道を塞いじゃったんだ」
「へぇ…だからこんなに人だかりが…」
学校行けねぇじゃねぇかと思っていたら
「なっ和のバカぁぁ!!」
「ゴフッ」
なっなぐられた。思い切り腹を。なぜだ。解せぬ。
「和が…和が巻き込まれたんじゃないかって…気が気でなかったのに…!」
「…は?」
ん?どういうことだ?疑問に思っていると困ったように矢藤くんが説明してくれた
「さっき工事現場の鉄骨が落ちてきたっていっただろ?その鉄骨が落ちてきた時間帯、ちょうど毎日長谷川さんがこの道を通ってる時間なんだよ」
それを聞いて、私は、背筋が凍った。
「…マジで?」
「…うん、この騒ぎみたとき、加奈子がまさかと思って、長谷川さんの携帯に連絡したんだけど、出なかったから…」
…すいません。ぐっすりと寝てました…。しかも起きたとき急ぎすぎて携帯も忘れた…
「うぁぁん!!和が無事でよかったぁあ!」
「ごっごめん…心配させて…ありがとう…」
私がもし、いつものように起きて、いつも通りの時間に家を出て、いつもの時間で、この道を通っていたらと思うと…背中に冷や汗がしたたるのを感じた…
「ズビッ)うぅとりあえず、このままじゃ学校行けないからって、今日は臨時休校だってさ」
なん…だと…!?走った意味!…だが死ぬよりはマシか…
「休校ってサボってるわけじゃないけど、なんかわくわくするね!」
…ん?…サボり…サボり…あ!
(ー今日の学校サボるか遅刻するかきめといたほうがいいよ)
夢で、誰かにそう言われたことを思いだした……顔は覚えていないけど確か黒かったあいつは、今日、起こる事故をわかっていたというのか
「じゃあこれから、カラオケいこー!」
いったい…あいつは何者なんだ…まだ今日も夢に出てくるのだろうか…
「ちょっと和聞いてる?心配させたぶんジュースおごってね?」
えっ
「えぇ!?」
と驚くと、加奈子は
「…文句ある?」
とてつもなく、怖い笑顔で言ってきた。…怒ってる…これは怒っていらっしゃるぞ…さすがの矢藤くんも苦笑いだぞ…
「いえ、文句などございません」
と私は加奈子の迫力に負け、今月ピンチの財布のなかを覗くのだった。