はちゃめちゃリレー小説
□白昼夢マティーニ
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彼の背中を見送った後、足早に加奈子と矢藤くんの所に戻る。
早速、自販機でジュースをおごり、
飲みながら歩く。
にしても、夢太郎さんかぁ…。変わった名前だなぁ。
夢太郎さんって学生さんかな?
私たちと同じくらいに見えたけどなぁ…。
なんて、考えてたら、ふと視線を感じ横を見てみるとニヤニヤした、何ともイヤらしい顔をした加奈子がこちらを見ていた。
「な、何?」
とまどいながらも、彼女に問いた。
すると、彼女はさらに顔をニヤつかせながら応えた。
「とぼけちゃって〜。さっきの彼氏なんでしょ?」
「…はぁああああ?!!ち、違うよ!!」
顔を真っ赤にさせながら、手を横にブンブンと振り、必至に否定する。
「へ?違うの?じゃあ、何であんなに親しげなの?」
「別に親しげじゃないよ!!
今朝、会ったばかりの人で遅刻しそうだったから、全速力で学校に向かってたら、曲がり角でぶつかって顔見知りになっただけなの!
しかも、その時に夢太郎さんが手帳を落としたから、さっき返しに行ってたの!!」
息継ぎもしないで必死に弁解をし
言い終わると、
「わ、わかったわかったから!そんな必死にならなくても…」
と、加奈子はとまどいながらも私を宥めた。
矢藤くんもそんな私を見ながら困った表情をしながら、
「まぁ、とにかく事情はわかったんだし、取りあえず何処か行こうよ、ね?」
と、場の空気を変えるべく遊びに行こうと誘ってくれた。
矢藤くんのこういう所はとても素敵だと思う。
とにかく、納得してもらえたから
よしとしよう。
太陽が照りつける中、3人で横に並び何処に行くか話し合いながら、歩き出した。