壤夷系長編小説

□銀時と神様2
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ちゃぽん。

黄金色の髪の毛を湯に浸しながら、松陽は溜め息をついた。

「ふう…。」

一昨日までの三日間、幕府の高官から呼び出され、武芸、舞、花、歌、、、を見せてくれと頼まれた。

「お主が吉田松陽じゃな?噂はきいておるぞ。なんでも、素晴らしい教養だそうだな。おまけに容姿も良いとか。」

(誰がそんな噂をながしたのだ?)
松陽は少しうんざりしたがこの方は幕府のお偉いさんである。
気分を損ねると厄介だ。

「そんな…。光栄です。ですが私はそんなに完璧ではございません。」

「まあよい。われはお主に興味がある。噂通りの人物か、われが定めようではないか。まあ…容姿については噂通りじゃの。」

松陽は寒気がした。それほどに気持ち悪い笑みをこの高官はこぼしたからだ。

「ところで、われの名は存じとるだろうな?」
松陽は極上の造り笑いでこたえる。今は、身を守らなければならない。

「蔵持(くらもち)様ですね。」

「そうじゃ。因みに下の名は暁世(あきよ)じゃぞ。気軽にあっちゃんと…」

「ところで蔵持様、私は何をすればよろしいのでしょう?」

「…手始めに歌でもよめ。われに対する気持ちを詠め。」


「…了解いたしました。」


この時点で松陽は精神的にどっと疲れたのだが、この後も一番強いと言われる護衛と武道で勝負させられたり、蔵持の肖像をかかされたりした。





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