短編小説集

□涙が出るほど幸せな
1ページ/10ページ



俺が煙草を吸うのはやりきれない思いを封じる時。
あと苛々した時。
吸ってる奴なら解ると思うが、煙草を吸うとたったの5分時間が20分くらいにかんじられ、こう…長い休憩を取れた気分になる。
忙しくて息をつけない日々に、これはかかせないのだ。


…だが今日は必要無さそうだな。

今日は久しぶりのオフで、一日をめいいっぱい満喫できる。
煙草に……頼らなくても大丈夫そうだ。

リィィィィィイン。

電話がなったのでとってみる。
何時もならあせってとるのだか今日は落ち着いて取れる。
そのことにさえ、幸せを感じる。


「はいこちら土方…。」

「え〜?もしもしィ?土方?なァんかいつもとちがう〜。」

「あ?万事屋?んの用だ?てかふざけた声出してんじゃねぇ!」

「…土方のいじわる。土方今日オフなんだろ?団子でも食いにいかね?」

「…どうせ俺におごらせてんだろ?ってちょっと待て。なんでテメエが俺のオフ知ってんだよ?」

「ん?ああ、沖田君に聞いたよ。団子屋さんで寝てた。」

「(んのヤローが!)…そうか。」

「で行くの?いかねーの?」

「…どうせ暇だしいってやるよ。」

「ふうん。そんじゃ今から迎えに行くから準備でもしてて。」

「おう。」



電話を切ると、思わずニヤけがくる。
あいつと会うの久しぶりだな。


二人っきりなら尚いいんだけど。




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ