短編小説集

□雪と君
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雪は昔から嫌いだった。
自分が溶けてしまいそうで。
どんよりとした空を見上げれば、舞い落ちてくる白い結晶たちが、自分の足下から総てすくいあげ、連れて逝ってしまいそうで。
心だけがぽつんと、取り残されるような、なんともいえない浮遊感。
嫌いだった。



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