一応下記にゲームの説明ありますが、LOST・COLORSを知ってる方はこの説明をすっ飛ばして頂いて構いません。
ライはゲーム中のプレイヤーサイドのキャラで彼の視点でゲームが進行されます。ちなみに『ライ』は初期設定の名前です。
声を媒介としたギアスを所持し、記憶をなくし学園の敷地内でいき倒れていたのをミレイに拾われそのまま学園で暮らすことになり、記憶を探していく中で様々なストーリーが展開していくと。そういうゲームでございます。
性格はストーリー次第で大分分裂します(笑)が、基本優しく義に厚い子で個人的に軍人編の幻の美形表記が気にいってますW
オフィシャルでは解りませんが、ゲーム内イラストを垣間見る感じでは銀髪に恐らくアイスブルーな瞳ではと勝手に思っております。
それを踏まえ今回の内容はゲーム内学園編のイベントをベースしたものとなっています。
では長くなりましたが、どうぞお読みくださいませm(__)m










―――ミレイさんがお見合いをする。
その話を当人の口から聞いたとき、僕は正直驚いた。
と言っても、以前から家のためお見合いをしているという事は聞き知っていたので、話の内容そのものにではなく。まさか、自分が直接当人からそれを打ち明けられるなんて予想もしていなかったのだ。
ミレイさんが何故他の生徒会メンバー、…例えばニーナやシャーリィーではなく、僕なのか?
しかも、わざわざ屋上に呼び出してまでだ。
僕自身が言うのも何だが、僕は得たいの知れない新参者だ。話を聞くには一番相応しくないんじゃないだろうか?
いつもの明るく茶目っ気ある笑顔を潜めた、憂鬱そうに瞳をふせ表情を曇らせるミレイさんを前に僕はそう考えていた。
けれど、言い終えてからまるで今の発言が失言だったと慌てて否定するその姿に、そこでようやく合点がいった。
―――逆なのだ。
逆に相応しくないから、僕に話してくれたのだ。
僅かな期間一緒に過ごした僕の目から見ても、あんなに仲の良い生徒会メンバーの事だ。誰に話したとしても、ミレイさんのピンチを救おうと奮闘するだろう事は僕にでも容易に想像が出来る。
誰か話を聞いてもらいたい、でも余計な心配や負担をかけたくない。でも、一人で抱えるには不安はあまりに大きすぎて……。
そんな諸々の葛藤の末、僕が選ばれたのだ。
恐らくは当人は無意識下での人選だったとは思う。
話が話だけにあまり親密ではない第三者に話せる内容ではないが、僕ならここに来て日は浅いし、お世話になっているのだからミレイさんとも親しくさせてもらっている。まさしくうってつけだろう。
が、だからと言ってハイそうですかと見過ごせるわけはない。
僕にだって恩義も友情もあるのだ。甘く見てもらっては困る。
話によるといつもなら適当にお断りするのだか、今回の相手はミレイさんの祖父、つまりこのアッシュフォード学園理事長が恩義がある人からの紹介だそうで、簡単に断ることが難しいらしい。
しかも先方の貴族がかなり乗り気だそうで、強引に押しきられたらどうしようと、ミレイさんは本気で困っていた。
頭の中で一連の流れを反芻した僕は流石に自分一人の手には余ると判断し、直ぐ様、ある人物を呼び出す事にした。



「……事情は解った」
不遜な態度で、しばらく僕の話に黙って耳を傾けていたルルーシュは聞き終えてから小さく息を吐いた。
「そういうことなら、俺も手を貸そう。会長には俺も恩があるしね」
それはとても嬉しい言葉だった。
何せ相手は貴族だ。特権階級の人間に、何ら後ろ楯の無い一学生が到底太刀打ち出来るはずはない。
学生、と言っても記憶のない僕の場合、その身分すら怪しいのだが……。
「ありがとう。ルルーシュ君がいれば心強いよ」
生徒会の役員内でも、知略に長けた彼が仲間になってくれるのは、本当に有難い。
一人では心もとなかった僕は、素直に感謝の意を彼に述べた。
「あ、ああ。…そうだな、まずはニーナに聞いてみよう。彼女にも協力を仰いだ方が良さそうだ」
すると、一瞬ルルーシュは微かに瞠目したかと思うと、僕から視線をそらし携帯電話とりだした。
よくよく見れば、その白い頬が僅かに紅潮しているようだった。
どうやらルルーシュは照れているらしい。
……何か新鮮かも。
思ったがそれをあえて口には出さず、僕はニーナに連絡をするルルーシュをただ黙って見守る。
せっかくやる気になってくれているのに、ここで茶化して機嫌を損ねたら、マイナスになりかねない。
日頃のスザクやリヴァルとの会話から見ても、彼の気難しさは理解しているつもりだ。
まあ、普段の神経質そうなルルーシュの、そういった表情は僕から見ても可愛いと思うけど……。
日頃ルルーシュにちょっかいをかけている、ミレイさんやリヴァルの気持ちがちょっと理解出来てしまった。



「……なるほど。状況はわかりました」
ミレイさんのことで話があると言ったら、ニーナはすぐに来てくれた。
僕が事情を説明すると、ニーナは神妙な面持ちで頷いてくれた。
「とりあえず、近々予定されているお見合いなら、相手と場所はすぐに分かるけど……」だからルルーシュはニーナに連絡しろといったのか。
彼女の言葉に、僕は思わずルルーシュを見やれば、僕の反応を見越していたのだろう紫の瞳とぶつかった。
ルルーシュは意味深に微笑む。
「…さて。ここに会長の情報を把握しているニーナと、生徒会副会長として会長と付き合いが長い俺がいる」
まるで、教師が生徒に数式の解き方でも教えるような勿体ぶった口振りだ。
解き方までは教えてやる。だから、答えは自分で出せと。
「もちろん、会長の行動パターンは予測可能だ。…さあライ、お前はどうしたい?」
そんなの、決まっている。
「ミレイさんのお見合いを破談にしたい。ただし、彼女に迷惑がかからないやり方で、だ」
ルルーシュの口の端に浮かぶ不敵な笑みを前に、僕は無意識に挑むように答えていた。
ここで僕が引き下がるわけがない事をルルーシュは予想…、いや、知っている。これは単なる確認だ。
どうやら僕の答えは彼のお気に召したらしい。ルルーシュは満足げに目を細め頷いた。
「……良い答えだ。なら決まりだな。ニーナも力を貸してくれるか?」
これも確認だ。
ルルーシュの視線の先で、ニーナもミレイちゃんのためならと、了承の意を示した。
…何となく、これでもう後戻りは出来ないなと思った。
元々そんなつもりはなかったが、正しくは精神的な面で追い込まれたと言うべきか。そんな感じだ。それも、多分ルルーシュの計算のうちなのだろう。
敵に回したらさぞかし厄介なタイプだな。
特にその予定はなかったが、僕は内心漠然と思った。
「よし、ニーナ。早速見合い相手の情報を調べてくれ。ライは―――」
「ちょっと待って」
話を遮られたルルーシュが怪訝に僕を見た。
「何だ?まさかやると言ったばかりで、もう怖じ気づいたか?」
僕は首を横にふる。それこそまさか、だ。
ミレイさんのためなら何だってやってやる。その気持ちに嘘偽りはない。
だからこそ僕はここにいるのだ。
「…僕に作戦を考えさせてくれないか」
「お前に?」
「ああ」
瞠目するルルーシュに、僕は肯定を示し頷いた。
ミレイさんから話を聞き、二人に協力を仰いだのは自分だ。だから、出来る限りの事をしたい。
「頼む」
僕の視線を真っ直ぐ受け止めたルルーシュはしばし考え込む素振りを見せていたが、やがて肩を竦め解ったと呟いた。
「では、ライ。お前のお手並みを拝見しよう」
「有り難う、ルルーシュ!ニーナも改めてよろしく頼むよ」
「うん」
こうして、僕たちのお見合い破談大作戦は始まった。










ちょっと短いですが、キリがいいのでここで前編半終了〜。
いっぺんには収まらないので、分けてのせます。


そのD(お疲れ様な人)

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ